金沢市の整体業界の過密化とその背景

金沢市は石川県内で最も人口が集中している都市であり、そのため治療院、特に整体院の数が非常に多い地域でもあります。

この現象は単なる地域的な特徴にとどまらず、整体業界全体の傾向とも深く関わっています。

治療院、特に整体院は、接骨院や鍼灸院、あん摩マッサージ院などを含め、金沢市では人口当たりの比率が全国平均を大きく上回っています。これにより、業界内での競争が非常に激化しています。

 

金沢市内を車で走っていると、頻繁に整体院やマッサージ店が目に入り、「こんなに多いのか?」と感じることも少なくありません。

実際、金沢市における整体院や治療院の数は、コンビニの数を上回るとも言われており、その数の多さは業界の飽和状態を象徴しています。

 

接骨院は富山のほうが多いですが鍼灸院・あん摩マッサージも合わせると石川県も全国トップクラスの治療院激戦区です。(2021年現在)

 

では、なぜ金沢市の整体業界はここまで過密化してしまったのか?その背景にはいくつかの重要な要因が存在しています。

 

 

なぜ金沢の整体業界はここまで過密化したのか?

過密

接骨院と整体院の融合

まず重要なのは、接骨院と整体院の境界が曖昧になってきたことです。接骨院は、柔道整復師と呼ばれる国家資格を持った専門家によって運営されており、主に骨折や捻挫などのケガの治療を行います。しかし、接骨院が持つメニューは、必ずしも患者を引き寄せるために十分ではなく、経営の多角化が求められるようになりました。

金沢市では、接骨院経営者が整体技術を取り入れるケースが増えており、整体施術を行う接骨院が急増しました。これにより、金沢市の整体業界は過剰に競争が激化し、結果として市場が飽和状態に陥っています。

接骨院が整体を行うようになった背景には、経営の安定化を図るためという実務的な理由があります。

患者数が限られている中で、治療の種類を増やし、集客を図るための戦略として、整体を導入するのです。

 

民間療法としての整体の普及

整体は、国家資格が必要ない民間療法として発展してきましたが近年、柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などの国家資格者が、整体技術を学び、開業するケースが増えてきました。

整体自体は医療行為とは異なり、誰でも学べる技術であるため、資格を持たない人でも参入しやすい市場となっています。このような背景も、金沢市における整体院の過剰な増加を引き起こす一因となっています。

整体の技術自体は、歴史的には野口整体を発祥とする民間療法として発展し、医療とは別の領域に位置づけられてきましたが、ここ数年で整体の技術が国家資格者にも認められたということの裏返しにもなります。

特に金沢市のような地域では、人口が集まり、かつ治療院が乱立することで、競争が激化し、経営が難しくなることも少なくありません。※骨盤矯正と国家資格は何の関係もありませんこちらでも書いております。

 

集客の困難さと競争の激化

整体業界において、集客は常に大きな課題です。金沢市のような都市部では、治療院の数が非常に多いため、集客が困難になるケースが多く、結果的に経営に支障をきたすことがあります。特に、広告費用がかさむため、初期投資を回収できずに開店から数か月以内に閉店する店舗が増えています。

競争が激化すれば、差別化が必要です。しかし、多くの整体院が似たような施術メニューを提供しているため、顧客が選ぶ基準が非常に曖昧になり、経営者は一層の努力を強いられます。

また、少しでも広告宣伝を強化しようとすれば、費用が嵩み、さらに負担が増してしまうという悪循環に陥ることもあります。

 

 

整体業界の閉店の特徴

金沢市の整体業界において、閉店に追い込まれる店舗が増えています。新規開店した店舗が数ヶ月以内に閉店する原因は、さまざまですが、主に以下の要因が考えられます。

 

人として整体師に向いていない

整体院において最も重要なのは、技術だけではなく「人間性」です。

施術者としてお客様に信頼されるためには、まず施術者としての「気配り」や「心配り」が欠かせません。

整体師は、単に体を癒す技術を持っているだけではなく、相手のことを心から気遣い、良い状態に導くことが求められます。これができない場合、一度来てくれたお客様が再び訪れることはなく、結局、リピートに繋がらないという事態になります。

また、精神的に幼かったり、性格が悪かったりすると、顧客との信頼関係が築けません。そのため、リピートが生まれず、経営が成り立たなくなってしまうのです。

 

立地とアクセスの悪さ

金沢市のような地方都市では、特に「立地」が重要です。東京のような電車移動はほとんどないので駐車場がない場所に位置する整体院は集客が難しくなります。繁華街に近い場所や、アクセスが便利なところに店舗を構えていても重要なのは車で訪れる事が出来る事です。

また、自宅を利用した「自宅サロン」を開業する場合、初期投資を抑えることができるというメリットがありますが、成功率は非常に低く、よほどの工夫がないと集客には繋がりません。

自宅サロンの場合、プライバシーの問題や場所の制限があり、結果的に失敗することが多いです。

 

 

金沢市の整体業界で生き残るための戦略

金沢市のような競争が激しい整体業界で生き残るためには、以下のような戦略が不可欠です。

 

専門性を高める

競争の激しい市場では、ただの「整体院」ではなく、特定のニーズに応える専門性を持った店舗が生き残ります。例えば、腰痛や肩こり、姿勢改善、骨盤矯正など、特定の症状や疾患に特化した治療を行うことで、他の整体院との差別化を図ることができます。

当院も産後骨盤矯正の前は頭痛専門でした。これはそのさらに昔、駅西で中国人が経営していた整体院があったのですが、そこが上半身コースと下半身コース、全身コースとわけてあったメニューを見て、上半身コースなら、肩こりとか頭痛コースに変えればもっとお客さんが増えるのではないかと考えたのが発端です。

 

顧客満足度の向上

顧客満足度が高い整体院は、リピート客が多く、安定した集客が期待できます。カウンセリングの時間をしっかり取り、お客様一人一人の状態に合わせたオーダーメイドの施術を提供することが大切です。

また、アフターフォローでメールを送ったりすることも顧客満足度を高める要素となります。

 

SNSやオンライン集客を強化する

現代の集客において、SNSやインターネットの活用は不可欠です。FacebookやInstagramを使った情報発信、ブログやYouTubeでの施術内容の紹介を行うことで、オンライン上での認知度を高め、集客に繋げることができます。また、地域密着型のビジネスとして、Googleマイビジネスに登録し、オンライン予約システムを導入するなどの工夫も有効です。

 

継続的な学習と技術向上

整体技術や知識は常に進化しています。新しい技術や施術方法を学び、常に最新の情報を取り入れることで、競争優位性を保つことができます。例えば、新しい治療法や最新のトレンドに敏感であり続けることで、常に顧客に価値あるサービスを提供し続けることができます。しかしこれは独自の確立された技術がないということにもなるので未熟ともとれます。

 

地域との連携

地域密着型のサービスを提供することで、地域内での信頼を築き、長期的な顧客を獲得することが可能です。地域イベントや健康に関するセミナーを開催することで、地域住民との信頼関係を深めると同時に、集客にも繋がります。これは有資格者が有利になります。

 

ー結論ー

金沢市の整体業界は競争が非常に激しく、成功するためには他の店舗との差別化が不可欠です。専門性を高め、顧客満足度を向上させ、オンライン集客を強化することが、今後の生き残りに繋がります。また、地域とのつながりを大切にし、常に学び続ける姿勢が成功への鍵となります。整体業界の未来は厳しいかもしれませんが、経営者の努力と工夫次第で、必ずや成果を上げることができるでしょう。