妊娠と出産以外では、骨盤はほとんど歪みません。生理時も骨盤は開きますが、それはごくわずかになものです。
なので、出産したのに骨盤の歪みを直さないままでいるとそのまま固まってしまい、後から簡単に直すことはできなくなりますから、なるべく早めに骨盤矯正をすることをお勧めします。
ここでは骨盤が歪むという事がどのような状態を指すのか説明していきます。
骨盤の動き
骨盤自体は非常に強固なつくりなので、骨盤は一個のユニットとして考えることもあります。仙骨と腸骨によるニューテーション・カウンターニューテーションという動きもありますが、単純に骨盤というのは一個の骨という認識でとらえるこも可能です。
そうなると「歪む」という表現ではなく「傾き」という表現で表されます。
傾きは腰椎と股関節の動く方向にコントロールされます。
それは普段からの癖ともいえる動作から生じてきます。
スマホを見る時の姿勢、椅子に座ったときの姿勢、そこで足をどのように組んでいるのか、立っている時はいつもどうしているのか、物を運ぶ時の持ち方などです。
産後なら、なにからなにまでなんでも床の上でするのか、その時の座り姿勢はどうなっている、抱っこはどっちの腕でかかえている、テーブルやベッドを使うならどのような使い方をしているのか。
普段の動作は、トレーニングジムで鍛えているのではないのですから、自分がやりにくいなれないことや疲れることをしませんので、自分自身が動きやすい様に身体を使っています。
そうなると、使う筋肉と使わない筋肉といった偏りが出てきます。
その偏った癖がずっと続くと、背骨や股関節の機能が低下して、骨盤の傾きまで発展します。
ここからは骨盤の傾きに腰椎や股関節がどのように関わっているのか関係性の理解を深めていきましょう。
立位を前提として解説します。
骨盤の前傾
骨盤の前を触るとあるポッコリとした骨(上前腸骨棘)が恥骨よりも前方にある状態。
股関節は屈曲位で、腰椎は前弯(そり腰)が強まった状態です。
これは骨盤が前傾したことによって体が前に倒れますので、腰を反ることでバランスを保とうとする結果です。
この状態とは、股関節の屈曲と、腰椎の前弯の柔軟性が高いという事になります。
その反対の意味は股関節の伸びと腰椎の屈曲が硬い事を意味します。
妊娠中に腰痛になる理由
妊娠後期になると、お腹が大きくなり骨盤は嫌でも前傾します。その時から腰が痛くなる主な原因として、元々骨盤が後傾している人が無理やり前傾するので痛くなるということです。また元々そり腰だった場合も過度に反り腰になるので腰痛を引き起こすケースもあります。
骨盤前傾の身体的な特徴
太っていなくても上腹部がポッコリする。大転子が出っ張るので太ももが太くなる。産後の骨盤矯正ではこの課題でのご来院がものすごく多いです。産後2か月以内の方ならば骨盤矯正2~3回目くらいできつかったズボンが履けるようになったと実感されます。
そり腰は骨盤後傾ほど悪くはないと私的には考えております。
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骨盤の後傾
骨盤の前を触るとあるポッコリとした骨(上前腸骨棘)が恥骨よりも後方にある状態。
股関節の前は伸ばされ、腰が丸くなった前弯が弱まった状態です。
これは骨盤が後傾したことによって体が前に倒れますので、腰を丸めることでバランスを保とうとする結果です。
この状態とは、股関節の伸展と、腰椎の後弯の柔軟性が高いという事になります。
その反対の意味は股関節の屈曲と腰椎のそりが硬い事を意味します。
よくネットではそり腰が悪者になっていますが、慢性腰痛の大部分が骨盤後傾のケースが多いのは当院だけの特徴なのでしょうか?
骨盤後傾の身体的な特徴
猫背になるので首こり、肩こりになる。腰痛にもなりやすい。骨盤底筋群が張らないので尿もれになりやすい。外反母趾になりやすい。力がはいりにくくなっているので全ての動作のパフォーマンスが下がる。
骨盤の左右傾き
骨盤が左右どちらかに傾いた状態。右が上がって(挙上)いれば、左は下がっている(下制)状態の事を指します。
例えば右の骨盤が上がっている時は、右股関節は内転位になり、左股関節は外転位となります。腰椎はバランスをとるために右に側屈します。
いっても、それほど強くは働くわけではありませんがも赤ちゃんを右で抱えて抱っこをするとこのケースと同様になります。
骨盤の左右回旋
骨盤が脊柱を軸に左右どちらかに回旋した状態。回旋というよりもどちらかにひねった状態という方がわかりやすいでしょうか。
骨盤が左が後ろで右が前に回旋した場合なら、右股関節は外旋位、左股関節は内旋位となります。腰椎は正面を向くために右回旋位になります。
日本中の整体師の中でも極少数の整体師しか意識していないと思いますが、大部分の人は骨盤が若干左回旋しているのが正しい身体です。これは人間は右利きが多いからだと思いますが、その遺伝子レベルのことさえも最近は変化をしているような感じもあります。
骨盤の回旋や傾きを伴う身体的な特徴
長い距離を歩いたりすると、右か左のどちらかの膝が痛い、股関節が痛いなど、どちらか一方に不調が発生しているケース。
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椅子に座ったときの良い姿勢と悪い姿勢について、腰椎、骨盤、股関節の動きに基づいて説明します。
良い姿勢
●腰椎ー自然な伸展(生理的前弯)
腰椎は軽く前弯(いわゆる「腰の反り」)を保っている状態です。
これは腰椎の自然な形状で、負担が最小限に抑えられます。
体重が椎間板に均等にかかり、腰痛を予防します。
●骨盤ー軽い前傾
骨盤がやや前傾し、坐骨(お尻の骨)が椅子にしっかりと当たっています。
骨盤が前傾すると、腰椎の自然な前弯が保たれます。
●股関節ー軽い屈曲
股関節が90度程度に屈曲している(膝がほぼ直角に曲がっている)状態です。
太ももと胴体の角度が適切に保たれ、体重が均等に分散されます。
☆ポイント
背中がまっすぐで、胸が自然に開いた状態。
足裏全体が床にしっかり接地。
椅子の深く座り、腰が背もたれに軽く接触していることが望ましい。
悪い姿勢
●腰椎ー過度な屈曲(猫背)
腰椎が丸くなり、自然な前弯が消えてしまいます。
椎間板に不均等な圧力がかかり、腰痛の原因になります。
●骨盤ー過度な後傾
骨盤が後ろに倒れ、坐骨ではなく仙骨(尾てい骨に近い部分)が椅子に接触している状態です。
骨盤の後傾は腰椎の丸まり(屈曲)を引き起こします。
●股関節ー過度な屈曲または伸展
・過度な屈曲
座面が高すぎて膝が胸に近づくような状態。
骨盤が押しつぶされて後傾しやすくなります。
・過度な伸展
椅子が低すぎて膝が伸び、太ももが下がった状態。
骨盤が前傾しにくくなり、腰や股関節に負担がかかります。
悪い姿勢の典型例
・猫背(腰椎の過度な屈曲、骨盤の後傾)
長時間デスクワークをしているときによく見られる姿勢。
腰椎に大きな負担がかかり、椎間板ヘルニアや腰痛を引き起こしやすい。
・反り腰(腰椎の過度な伸展、骨盤の過度な前傾)
椅子の深くに座らず、背もたれに頼らない場合によく見られます。
腰椎の後方の関節に過剰な負担がかかり、腰痛の原因になります。
良い姿勢を保つためには、腰椎の自然な前弯を意識し、骨盤の前傾と股関節の屈曲が適切な状態で座ることが重要です。椅子や机の高さを調整し、体の各部位に無理な負担がかからないようにしましょう。
また、産後骨盤矯正では座ると尾てい骨が痛いというケースではみなさん骨盤後傾傾向にありますので、前傾になるような施術と姿勢についての指導の両方で改善を促していきます。
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