股関節の基礎知識/骨盤の整体学

股関節

骨盤と股関節の関係

骨盤と股関節は協力して、体の安定性と動きを支えています。骨盤は体の重心を保ちながら、股関節は歩行や走行などの動きをスムーズに行うことができます。


また、骨盤は上半身の重さを股関節を通じて脚に伝える役割を果たし、負担を分散させることで、膝や足首にかかる重力ストレスを軽減します。


そして骨盤と股関節周りの筋肉や靭帯は、関節の安定性を保ちつつ、柔軟性と動きをサポートします。例えば、臀部や太ももの筋肉がこれらの関節を支え、体の動きを調整します。

 

股関節の基本構造

股関節構造

股関節は、人体の中でも特に強く重要な役割を果たす関節の一つです。この関節は、歩行や走行、座る、立つなどの多くの動作に関与しています。

 

●大腿骨頭(だいたいこつとう)

大腿骨(太ももの骨)の上端にある球状の部分で、股関節のボール部分を形成しています。これが骨盤の寛骨臼にはまることで関節が成立します。

 

寛骨臼(かんこつきゅう)

骨盤の側面にあるカップ状の構造で、大腿骨頭が収まる部分です。寛骨臼と大腿骨の表面は軟骨で覆われておりこれにより、股関節は滑らかで広範な動きを可能にします。

 

●大転子(だいてんし)

大転子は大腿骨(太ももの骨)の上部、外側に突出している部分で、股関節のすぐ下に位置します。骨盤の横から下に滑らせていくと触ることができる突起として感じることができます。骨盤ベルトは大転子のすぐ上にくるように装着します。

 

●関節包(かんせつほう)

股関節は強固な関節包に包まれており、この膜が関節全体を保護し、滑らかな動きをサポートします。関節包の内部には関節液が存在し、これが摩擦を減少させ、関節の健康を維持します。

 

 

股関節に付着する靭帯

股関節に付着する靭はおおきく4つあります。この靭帯があることで脱臼を防いでいます。

 

●腸骨大腿靭帯(ちょうこつだいたいじんたい)

腸骨大腿靭帯(ちょうこつだいたいじんたい)

骨盤の腸骨から大腿骨の前方にかけて伸びており、股関節を前方から安定させ、特に伸展(脚を後ろに引く動き)を制限します。これは人体で最も強力な靭帯の一つです。

 

●坐骨大腿靭帯(ざこつだいたいじんたい)

坐骨大腿靭帯
やるしかっ @yarushika1 さまから引用

骨盤の坐骨部分から大腿骨にかけて伸びており、股関節の内旋や後方への動きを制限し、関節の安定性を保ち大腿骨が骨盤に対して後方にずれるのを防ぎくことにより、体のバランスを保ちやすくなります。

 

●恥骨大腿靭帯(ちこつだいたいじんたい)

恥骨大腿靭帯

骨盤の恥骨部分から大腿骨の内側にかけて伸びており、股関節が外側に広がる動き(外転)を制限し、関節の安定性をサポートします。特に股関節の開閉動作に重要です。

 

●大腿骨頭靭帯(だいたいこつとうじんたい)

大腿骨頭靭帯
視覚解剖学 Visual Anatomyさまより引用

大腿骨頭と寛骨臼の内部を結びつけており、股関節の深部で関節の安定性を高め、特に内側への動きや回旋を制限します。この靭帯は関節の中心部で重要な役割を果たします。

この靭帯には血管が通っており、大腿骨頭への血液供給を助ける役割も果たしています。

 

 

股関節に付着する筋肉

股関節には20種類以上の重要な筋肉が付着しており、これらが股関節の動きと安定性をサポートしています。

体全体の筋肉量では下半身の占める割合は約3分の2にもなり、その大半は股関節に関わっています。

多くの付着する筋肉の中でも特に重要な筋肉を5つ紹介します。

股関節に付着する筋肉

●大殿筋(だいでんきん)

お尻の大部分を占める筋肉で、股関節の伸展(後ろに引く動き)や外転(脚を外側に動かす動き)をサポートします。大殿筋が弱ると骨盤はバランスのとり方によって前傾にも後傾にも傾いてしまいます。

 

●中殿筋(ちゅうでんきん)

骨盤の外側に位置し、大殿筋の下にあり、股関節の外転(脚を外側に動かす動き)や内旋(脚を内側に回す動き)をサポートし、歩行時に骨盤の安定を保ちます。中殿筋が硬くなると、育児でのあぐらのように股関節を開く動作がきつくなります。

 

●大腿直筋(だいたいちょくきん)

大腿の前面に位置し、骨盤から膝にかけて走行し、股関節の屈曲(脚を前に上げる動き)と膝の伸展(膝を伸ばす動き)をサポートします。大股歩きや走る時に股関節を伸展したさいに骨盤が前傾します。育児でもしゃがむなどの初期動作で不都合が起きやすくなります。

 

●ハムストリングス

大腿の後面に位置し、骨盤から膝の後ろまで走行し、 股関節の伸展(後ろに引く動き)と膝の屈曲(膝を曲げる動き)をサポートします。ハムストリングスが硬くなると座った時やしゃがむときに骨盤がより後傾します。

 

●大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

大腿の外側、骨盤の前方から大腿の外側にかけて走行し、股関節の屈曲(脚を前に上げる動き)、外転(脚を外側に動かす動き)および内旋(脚を内側に回す動き)をサポートします。大腿筋膜張筋が硬くなると立った時や歩いている時に骨盤がより前傾します。産後の腰痛でも意外と大腿筋膜張筋はトリガーポイント的な筋肉になっています。

 

 

股関節の基礎知識 まとめ

産後の骨盤矯正でも、産後から股関節が痛いという事での施術は毎日のようにあります。

 

本来は股関節は非常に丈夫な構造をしているのですが、妊娠・出産という工程の際にホルモンの影響によって丈夫なはずの股関節さえも骨盤と同時にゆるんでしまいます。

 

それでその股関節と骨盤を支えるために筋肉や靭帯が過剰に緊張することで股関節痛や腰痛につながっています。

 

当院の産後骨盤矯正は、出産やその後の育児生活によって歪んだ骨盤を正しい位置に戻す施術です。骨盤の歪みは、股関節の動きを制限し、痛みや可動域の低下を引き起こします。骨盤矯正によって骨盤が整えることで、股関節の動きが改善され、痛みや痺れが軽減される可能性があります。※個人差・回数差があります。

 

 

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