「骨盤の整体学」というシリーズをこれから時々アップしていきたいと思っています。
骨盤に関して、すごくいい本に出合いました。大学病院で理学療法士で働いてる方が書いた本なのですが、色々この手の本は多くありますが、非常に実践的でこれまで多くの経験があり骨盤の事を真剣に考えていないと書けないだろうという内容でした。そちらの方はケガ人や病人という患者を相手にしているので、私が普段相手にしている産後ママは、病人でもなければ事故で怪我をしている人ではないので、本の内容をそのまま自分の言葉で置き換えると話がそれていきますので、その本の流れにそって産後という期間になるべくよりそうように書き綴っていきたいと思っています。
骨盤に対する認識
ネットの情報や雑誌の読みものによると、骨盤が歪むと、太りやすい・猫背になる・脚が太くなる・頭痛肩こり・腰痛など身体が不調になるので、骨盤を矯正して、美しい姿勢になりましょうという文言を目にします。
整体院のホームページでは、書いていない所はないくらいほとんどこれと同じこと書かれています。
これって本当でしょうか?
私はこれまでのべ20000回以上の骨盤矯正をしてきましたが、身体に関する全ての問題が骨盤だけにあるように誤解されている方に数多く出くわしています。
当然産後なので、骨盤にも問題があるのですが、その問題を大きくしているのは骨盤以外から発生しているということなのです。※産後の骨盤はどうなっているのかもご一読ください
骨盤以外に重要なのは
骨盤が正常に機能するために、重要なのは背骨と股関節です。
骨盤に直接くっ付いているの関節が、背骨と股関節の二つですから、当然と言えば当然です。
背骨の一番上の頭蓋骨や股関節の一番下の足根骨も重要ですが、まずは背骨と股関節の機能を改善することが骨盤自体の機能を改善する事につながります。
ここでは身体の構造としての骨盤をみていきます。
骨盤の構造
最初なので骨盤の構造をわかりやすく説明していきます。
骨盤(こつばん)は、体の上半身と下半分をつなぐ重要な骨格の一部で、以下の主要な部分から構成されています。骨盤矯正ではこのすべてのパーツにアプローチすることで様々な不調にも対応しています。
寛骨(かんこつ)
寛骨はさらに3つの部分に分けられます。赤ちゃんの時は腸骨・坐骨・恥骨は軟骨によって繋がっていますが、成長するにつれて全てが結合して寛骨という一つの骨になります。
腸骨(ちょうこつ)
骨盤の上部を形成し、腸骨稜(骨の出っ張り部分)があります。
坐骨(ざこつ)
骨盤の下部後方を形成し、座る際に体重がかかる部分です。
恥骨(ちこつ)
骨盤の前部を形成し、左右の恥骨が恥骨結合(ちこつけつごう)で接続されています。
仙骨(せんこつ)
仙骨は背骨の下部に位置し、5つの癒合した椎骨からなります。骨盤の後方中央部を形成し、寛骨と連結しています。仙骨も最初は5つに分かれているのですが、なんと30歳代にならないと完全に癒合しないとされています。
尾骨(びこつ)
尾骨は仙骨の下に位置し、4〜5つの小さな骨が癒合して形成されています。骨盤の後端部分にあたります。
骨盤の関節
骨盤にはいくつかの重要な関節があります。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)
仙骨と腸骨を連結する関節で、非常に強固ですが、わずかな動きを許容します。この関節は他の関節と明らかに違います。他の関節は平坦であったり、なめらかに作られているのに対し、仙腸関節の関節面は凸凹していることで関節面が安定するような仕組みになっています。
産後て腰の痛みを指さし確認していただくと、大半の方がこの仙腸関節周囲を指さします。
恥骨結合(ちこつけつごう)
左右の恥骨を結びつける関節で、妊娠中や出産時に緩む役割があります。
骨盤の機能
骨盤は以下のような重要な機能を果たします。
支持機能
上半身の体重を支え、下肢に伝える役割を果たします。
保護機能
内臓(特に生殖器、膀胱、直腸)を保護します。
運動機能
歩行や走行時の動きをスムーズにするための支持を提供します。
出産機能
妊娠・出産時に重要な役割を果たし、産道を形成します。
骨盤の動き
骨盤の動く方向ですが、「前傾」「後傾」「挙上/下制」「回旋」があります。
妊娠・出産の際は、リラキシンの影響でさらに動きの幅がでます。【骨盤が歪んでいる】とはこの動きのことを言います。
骨盤の靭帯と筋肉群
骨盤にはたくさんの靭帯と筋肉が付着しています。
靭帯は骨盤が簡単には歪まないようにガッチガチに補強しています。
骨盤、そして靭帯にはたくさんの筋肉が付着し、背骨、股関節、膝にまでまたがる筋肉で身体全体の動きにかかわっています。
つまりこれらの筋肉や靭帯が骨盤の歪みや動きをコントロールしています。
骨盤の歪みは筋肉・靭帯の歪みとイコールなのです。
骨盤、ようは仙腸関節が動く事で仙腸関節に付着している靭帯が引っ張られ、そこに付着する筋肉が引っ張られます。
逆に筋肉に力が入り収縮することでその筋肉が付着する靭帯も引っ張られます。
つまり骨盤に違和感があるということで骨盤矯正をする時でも、痛みや不調は骨盤だけにあるわけではないということです。
骨盤から離れた場所にある筋肉や背骨の歪みが問題の根本である可能性もあるということも理解する必要があります。
当院の骨盤矯正では身体を一つ一つの部品とみるのではなくワンネスと考えます。
骨盤に付着する靭帯
非常に強固な靭帯で事故や転倒以外では歪むことはありませんが、妊娠出産時や継続的にストレスが加わった場合には炎症や痛みが発生して骨盤の動きに問題が起こります。
◎仙腸靭帯(せんちょうじんたい)
仙骨と腸骨を繋ぎとめる靭帯です。骨盤の安定性を保つ上で非常に重要な役割を果たしています。
◎仙棘靭帯(せんきょくじんたい)
仙骨から坐骨棘(ざこつきょく)に向かって走る靭帯。骨盤の安定性を提供し、仙腸関節を補強します。
◎仙結節靭帯(せんけっせつじんたい)
仙骨から坐骨結節(ざこつけっせつ)に向かって走る靭帯。仙腸関節の安定化に寄与します。
◎恥骨靭帯(ちこつじんたい)
上恥骨靭帯: 左右の恥骨を結びつける靭帯で、恥骨結合の上部にあります。
◎恥骨弓靱帯(ちこつきゅうじんたい)
恥骨結合の下部に位置し、恥骨を補強します。
◎骨盤底筋靭帯(こつばんていきんじんたい)
骨盤底筋群を支持する靭帯で、骨盤内臓器の位置を安定させる役割を果たします。
骨盤に付着する筋肉
骨盤を安定させるためには、靭帯だけではなく筋肉も重要です。
この骨盤に付着する筋肉は、姿勢の維持、動作、内臓の保護など、様々な役割を担っています。
これらの筋肉が使い過ぎて硬くなったり、逆に使わな過ぎて弱くなったりすることで骨盤の動きに問題が起きます。
◎腹筋群
主な筋肉/ 腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋
働き/ 体幹を屈曲させ、体幹を回旋させ、腹圧を高める。骨盤を安定させ、内臓を保護する。
骨盤との関係/ 腹直筋は恥骨結合に、外腹斜筋と内腹斜筋は腸骨稜に付着し、骨盤の前方を覆っています。
◎背筋群
主な筋肉/ 脊柱起立筋、広背筋、大臀筋
働き/ 体幹を伸展させ、体幹を回旋させ、姿勢を保持する。
骨盤との関係/ 脊柱起立筋は仙骨や腸骨に、広背筋は腸骨稜に、大臀筋は仙骨や腸骨に付着し、骨盤の後方を覆っています。
◎下肢前面の筋群
主な筋肉/ 腸腰筋、大腿四頭筋
働き/ 股関節を屈曲させ、膝関節を伸展させる。
骨盤との関係/ 腸腰筋は大腰筋と腸骨筋からなり、大腰筋は腰椎に、腸骨筋は腸骨窩に付着しています。大腿四頭筋は、腸骨、大腿骨に付着し、股関節と膝関節の動きに関与します。
◎下肢後面の筋群
主な筋肉/ 大腿二頭筋、ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)
働き/ 股関節を伸展させ、膝関節を屈曲させる。
骨盤との関係/ 大腿二頭筋の長頭は坐骨結節に、ハムストリングスは坐骨に付着し、骨盤の後下部を覆っています。
◎内転筋群
主な筋肉/ 大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋
働き/ 股関節を内転させる。
骨盤との関係/ 大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋は坐骨や恥骨に付着し、骨盤の内側を覆っています。
◎骨盤底筋群
主な筋肉/ 尾骨筋、深会陰横筋、浅会陰横筋、球海綿体筋、挙肛筋、骨盤隔膜など
働き/ 骨盤内の臓器を支え、排泄をコントロールする。
骨盤との関係/ 骨盤の底面をハンモックのように覆い、骨盤内の臓器を支えています。
骨盤のニューテーション・カウンターニューテーション
立っている時は上半身の重みは背骨から仙骨にかかります。つまり仙骨は下に押し下げられています。
下半身からは、地面から押し返される力が寛骨に加わります。これは寛骨を押し上げる方向になります。
その中間地点が仙腸関節です。
仙腸関節はわずかにしか動きませんが、上半身・下半身の動きに応じて二種類の動きをします。
それがニューテーション、カウンターニューテーションです。
骨盤のニューテーション
ニューテーションとは、骨盤の動きの一つで、特に寛骨に対して仙骨が前方に傾く動作(うなづく運動)のことを指します。この時に寛骨は後傾します。骨盤は靭帯で支えるので安定します。
骨盤のカウンターニューテーション
カウンターニューテーションとは、寛骨に対して仙骨が後方に傾く動作(起き上がる運動)のことを指します。この時に寛骨は前傾します。骨盤は主に筋肉で支えるので不安定になります。
仙腸関節の動きと姿勢の関係
立ち姿勢や座っている時、上半身の重心は仙骨の少し前にありますが、立ち方や座り方で変化します。
思いっ切り背筋を伸ばした姿勢では、寛骨は前傾して骨盤は起き上がる方向に動きます。
背骨のS字湾曲を維持するよりもまっすぐに伸びた方が上には伸びるからです。
この姿勢は筋肉で支えたカウンターニューテーションであるので疲れやすくなります。
一方、猫背のように力を抜いた姿勢では、仙骨は前傾します。ん?と思いますが、よく考えていけばそうなりますのでこのまま読み進めて下さい。
骨盤は後ろに倒れますので寛骨は後傾します。それに対して背骨はC字に弯曲して頭が前にきるので背骨の根元にある仙骨は前傾します。
また仰向けで寝ている姿勢では骨盤は、骨盤の前の出っ張りであるASISの下に付着している大腿四頭筋に引っ張られて前傾する力が加わります。そのとき仙骨は腹部にある内臓の重さによって腰椎を介して押し下げられ腰椎の前弯が減少して仙骨は起き上がります。この動きによって仰向けで寝ると腰が痛いという現象が起きます。産後の骨盤矯正の腰痛ではこれが一番多いかもしれません。
ですが、上を向いて寝ていてもそこで膝を立てると骨盤の力の向きは変わります。
膝を立てる事で大腿四頭筋の引っ張りはなくなるので骨盤は引っ張られません。股関節は曲がっているので骨盤は後傾します。これは寛骨は後傾し、仙骨は反対の動きとして前傾するということになります。
ニューテーション・カウンターニューテーション まとめ
ニューテーションとカウンターニューテーションのどちらの動きも非常に重要です。 それぞれが異なる姿勢や動作において骨盤の安定性や柔軟性を提供し、体のバランスを保つ役割を果たしています。これらの動きを理解し、同じ姿勢を長時間続けずに交互に姿勢を変える事で痛みや不調が起きないようにします。
骨盤の基礎知識 まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。誤字脱字もあるかと思いますが、骨盤と言っても実は複雑なものなのです。ここではあくまでも骨盤に限った構造についてだけなのでまだまだこれから書く事もあります。たまに「骨盤の整体学」として新たにブログも投稿しますのでご興味があればお読みください。
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